1年前、有給を取って万博に行っていた
2年前、長男坊(黒猫)の癌が見つかった
いまの事務所に入って、大切なものをたくさん失った
一番ダメージが大きかった(大きい)のが長男坊
私が一番苦しかったとき、ずっと黙ってそばに寄り添ってくれた子
我が家にやってきてから亡くなるまでの11年7カ月弱、ほぼ毎晩私のそばで眠ってくれた
どれだけしんどくても、苦しくても、あの子の温もりに触れていたらいつの間にか落ち着いて眠れた
いまの事務所に入ったばかりの頃
事務所の空気感、雰囲気に馴染めず、正直毎日苦しかった
自分がいかに人並み未満の人生を歩んできたか思い知らされて、何度も辞めたいと思っていた
それでも「続けることでしか自信はつかない」と言ってくれた人の言葉を信じて、とにかく続けようともがいた
あの頃、長男坊が横にいてくれなかったら、私はもっと早くいまの事務所を辞めていただろう
事務所に入って半年ほどたった頃、少しだけ自分の居場所が見つけられたような気がし始めた
事務所の隙間、隅っこに自分が入り込める気がした
少しだけ事務所の中で呼吸ができるような感じがし始めた頃、長男坊に癌が見つかった
あのとき、あの子の命をどうやって延ばせるか調べ考えながら、頭の片隅で感じていた
あの子は、自分がいなくても私が生きていける、そう思えたから癌になったのではないか?と
非科学的であり得ないことだけれど、そんな考えが浮かんでいた
長男坊の闘病は5カ月ちょっと続いた
その間、前のチームの面々が事務所を辞めていった
独りとり残される寂しさを抱えながら、でも目の前の長男坊の看病と仕事に追われて、気づけば事務所に入って1年が過ぎていた
去年の今頃は新しい家のことで走り回っていた
新しい家になれば、母との間にある何とも言えないズレや葛藤も、もう少しマシになると信じていた
新しい家は母の長年の夢だったから
その夢を叶えればもう少し違う関係が築けると思っていた
でもそんなことはなかった
そしていま、私は事務所を辞めようとしている
9月末には辞めることが決まっている
自ら大切な関係を手放した
どれだけ片想いだったとしても、大切な関係だったのに
事務所のことも、仕事も、お客様も、同僚たちも、上長sも、ボスも
片想いでも、自分が望めばこれまでの関係は続けられたのに
それを自ら断ち切った
そして失った
事務所で仕事をしながら「次はこんな風に改善したい」と思っては、この事務所の未来に自分がいないことに気付く
「来年は」「次は」の、❝来年❞も❝次❞も私にはない
自分でそうした
だから自業自得だ
だから透明人間になりたい
淡々と仕事をして、淡々と引継いで、そして
毎日毎日心はジェットコースターで、エヴァの葛城ミサトのセリフを思い出す
「今の自分が絶対じゃないわ。後で間違いに気づき、後悔する。私はその繰り返しだった。ぬか喜びと自己嫌悪を重ねるだけ。でも、そのたびに前に進めた気がする」
前に進んでいる感じはない
むしろ後退しているようにも思える
それでもこの道を進むしかないんだろう
進んだ先に小さな夢やささやかな未来があると信じて
そう想いつづけて
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