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『桜とは何か 花の文化と「日本」』

 4月の読書記録・佐藤俊樹著『桜とは何か 花の文化と「日本」』 感想をまとめると以下の2点 1. 中国における花=「内なる内」としての牡丹、日本における花=「外なる内」としての桜、の対比は鮮やかであり説得的 2. 学問を学ぶということは、それがどれだけの苦痛を伴ったとしても、事実...

『滑走路』

今日という日もまた栞 読みさしの人生という書物にすれば 「風景画」
かろうじてある現在よ ぼんやりと夜空に浮かぶ月をながめる 「光る蛇」


去年の12月半ばに引越して、それから段ボール箱に詰め込まれたままだった本を、今日ようやく本棚に並べた
まだ全てを並べ終えたわけではないが、あらかた終わった
そしてようやく萩原慎一郎の歌集『滑走路』を出してきた

まだ税理士試験受験生だった頃、腫瘍が見つかった
当初は部位が部位だけに医者も顔色を変えて「ご家族は?」「紹介状を書くので今週末にはそちらに行ってください」と言われた
精密検査を2ヵ月ほどやって、結果当初想定されていた部位ではなさそうということで落ち着いたのだが、その間あと数カ月で自分がこの世からいなくなることを想定した準備を進めた
死んだとき、どこに連絡してもらうか
自分がいなくなったら(その前に体が動かなくなったら)長男坊と次男坊の世話をどうしてほしいか
残された時間が半年も無いかもしれないと考え、残り僅かな時間でできるだけのことをしようと走り回った
結局その年は精密検査の2ヵ月と手術・入院の1カ月、退院後の定期通院・検査期間の1カ月でまともに勉強ができない期間が多く、挽回できないまま本試験を迎えた

クローズアップ現代で萩原慎一郎の歌集を知ったのはその頃だった
非正規、先行きへの不安、それでも夢見る未来へのかすかな希望
当時なぜか強く惹かれて、Amazonで急いで買った記憶がある
手元に届いた頃は何度も読んだ
なぜこれほどの才能が死ななければならなかったのか...と思いながら

税理士試験に合格して前の事務所で働き、コロナ禍で身の回りの状況が一変し
いつの間にか本棚に置いたままになっていた
いまの事務所に入った頃、少しだけ開いたこともあったけれど、あまりに心が揺さぶられてしまい、自分の日常が揺らぎそうな気がしてすぐに閉じた

今日、本当に久しぶりに落ち着いて読んだ
いまの自分に響く言葉を探しながら

冒頭にあげた2首は今日強く印象に残った短歌のうちの一部
きっとこれからも何かあったとき彼の言葉を読み返すのだろう
そして彼が生きられなかった40代50代を私は生きていく
ほんのわずかな偶然で繋がった今の命に感謝して
命を繋いでくれた人たちを忘れずに