泣く気はなかったし、今日は泣くようなイベントも無いはずだった
黙々と淡々と仕事をやれば終わりのはずだった
呼ばれないと思っていた
というよりも、そう思っていないと呼ばれなかったときに辛くなりそうで
期待しないことで自分を守っていた
でも呼ばれて、もう一度ご挨拶する機会が得られて
予定していなくて
思いがけずもう一度お会いできて
気持ちが溢れてしまった
もっとやりたいことがあった
資産運用についても、数年後の代替わりについても
その際の留意点や対策も
もっと一緒にやりたかった
ずっとお客様と一緒にやりたかった
本当はあの場でお客様に抱きついて泣きそうだった
しがみつきたいほど、嬉しくて悲しかった
自分で決めたことだから泣く資格はない
そう思って抑えてきたけれど
あとたった15日
イヤだ!と叫んでいる自分がいる
泣き喚いて地団駄踏んでる自分がいる
でも「辞めるの止めた」と言えるタイミングはとうに過ぎた
そして
理性の部分が囁く
「もう一度この事務所で社福決算やれるの?」と
「次はないよ?」と
実際に5月の自分を思い返して、もう一度アレを乗り越えられるか?と聞かれたら、全く自信がない
あのとき、事務所のなかで1人で作業しながら体の震えが止まらず、20代の娘にLINEして自分の心を誤魔化そうとした
それでも抑えられなくて、ボスにも泣き言のLINEを送りかけた
(我慢できた自分を褒めてやりたい)
“死にたくない”という言葉が頭の中を占めているのに、気を抜けば自分の足が窓際に向かいそうで
椅子から立ち上がらないようにすることで、死神の“おいでおいで”に抗った
あのとき担当先の法人の方達が電話してくれなかったら、どうなっていたか
「うちの事務所に迷惑かけたくない」と強く念じても、それでも抑えられそうにないほど強い希死念慮だった
いま私はお客様達のおかげで生きている
だから感謝しかない
そして“次”がないことも理解している
うちの事務所に留まれば、私に“来年のいま”は無い
だから…
〜そうさ 都合良くはいかないね
記憶は全て 嘘の塊だ
あの時は気づかなかった
君のためだと 僕は言い聞かせてた
楽しかったことも
みんな台無しにするだろ だけど
いつかは 良い思い出と
思ってくれないかな だから
神様 お願い
もう少しだけ 幸せな時間を
味わわせておくれよ
歩くくらいのスピードで
夕陽が アスファルトに伸びてくくらいに
静かに そっと 消えていくから〜
(野田愛実『ロスタイム(野田愛実SelfCover)』)
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